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東急株式会社「渋谷アクシュ」
屋内インフラシェアリング 2024年7月導入
複合施設 - 
        
- 所在地
東京都 渋谷区
 - 延床面積
44,540.95㎡
 - 構造
地上23階、地下3階
 
 
「万全な通信環境で開業を迎えられた」インフラシェアリングで工数とコストを大幅削減し、安心・安全な施設運営を実現
渋谷の新たなランドマークとして2024年7月に開業した複合施設「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」。青山(A)と渋谷(SH)をつなぐ(X)場所として、異なる人々や文化が交じり合い、新たな価値が生まれる「TSUNAGI-BA」をコンセプトに誕生しました。
渋谷アクシュは低層階の商業エリアの役割に留まらず、広場を活用した賑わいの形成など、都市の魅力、環境性能、収益性を高める機能を集約しています。渋谷二丁目17地区市街地再開発組合では、この先進的な施設において、お客様やワーカーの利便性、そして安心・安全を支える通信インフラの整備に、JTOWERのインフラシェアリング・ソリューションを導入いただきました。
複数の携帯キャリアとの調整を一括で担うインフラシェアリングの導入効果と、今後の展望について、東急株式会社の須原様、鈴木様にお話を伺いました。
お話をうかがった方

- 東急株式会社
都市開発本部 都市戦略事業室
建築技術グループ
CM(2)担当 参事
須原 壮 様 

- 東急プロパティマネジメント株式会社
PM事業部 渋谷PM部 渋谷運営(1)グループ
管理担当 チーフ
鈴木 慎之介 様 
雑居ビルが並んでいるだけだった渋谷東口エリアが、渋谷アクシュの開業により、青山と渋谷をつなぐ「TSUNAGI-BA」として人の流れが生まれ、賑わいが創出された。
「渋谷アクシュ」のコンセプトや、東急にとってどのような想い、位置づけで運営されているのかお聞かせください。
高層階のオフィスと低層階の商業施設というビルとしての役割はありますが、それだけではなく、渋谷アクシュは都市魅力・環境性能・収益性の3本柱を同時に高める都市機能を体現している施設と捉えています。名称のとおり、青山と渋谷をつなぐ「TSUNAGI-BA」として、人や文化の交流を促し、新たな価値を生み出す場を目指しています。
現在は、ご利用いただくお客様の満足度を高める維持管理を徹底するとともに、広場でのイベント開催を積極的に行い、渋谷東口エリアの活性化に寄与していきたいと考えています。
―広場では、キッチンカーの誘致やアーティストのライブなど、具体的な取り組みをされています。これが「渋谷東口エリアの活性化」にどのように貢献しているとお考えでしょうか?
広場での取り組みは、まだ発展途上ではありますが、特に平日のお昼は、周辺のビルで働く方々も含めて、多くの方がキッチンカーを利用しに来てくださっています。夜には、ストリートミュージシャン、つまりアーティストの卵のような方々が演奏できる場所を提供しています。
以前は、雑居ビルが並んでいるだけだったこのエリアが、「渋谷アクシュ」ができたことによって人の流れが生まれ、新しい動線としても機能し、賑わいが創出されていると感じています。最近では広場のスポットを活用してインスタグラムやTikTokで撮影している若い方々も見受けられ、将来的には渋谷アクシュ出身のアーティストが生まれてほしいといった野望も持っています。

―渋谷ヒカリエからの回遊性が高く、喧騒とは一線を画したリラックスできる雰囲気が印象的でした。特に1階から2階まで繋がっている屋内のアトリウムでは木々が配置されており、憩いの場になっていました。
アトリウムでは、植栽を多数配置し、緑豊かな空間とすることにより、渋谷という都心でありながら、オフィスワーカーや来訪者の方々などが一息つけるような設計をしました。屋外の広場にはシースルービジョンを設置するなど、賑わいのための環境演出にも重点を置いています。
(画像提供:渋谷アクシュ)
インフラシェアリングは、一括調整によるスピード感とコストメリット、そして「安心・安全」を支える

渋谷アクシュにおいて、インフラシェアリング導入をご検討いただいたきっかけと、導入を決断された決め手を教えてください。
インフラシェアリングの仕組み自体は、JTOWERが既にインフラシェアリングを導入している南町田グランベリーパークでの開発時から知っていました。渋谷アクシュは、その施設構造上、建物の工事段階から、地下や高層階では電波が届きづらいことが確認されていましたので、不感知対策は必須でした。
その中でもJTOWERは、複数の携帯キャリアの対策を一括で実施できる点、そして、東急の他物件を含め大型物件での実績がある点が導入の決め手になりました。
―複数の携帯キャリアと個別に調整する場合と比べて、一括で調整できたことによるメリットは、具体的にどのようなところでお感じいただきましたでしょうか。
インフラシェアリングという仕組みを知る前までは、携帯キャリア各社と個別に調整していましたが、非常に大変でした。
特に渋谷アクシュは工期にゆとりがない中で、建物の工事と並行して携帯キャリア各社と調整を行い、通信工事へ入っていただくのは難しい状況でした。それを、JTOWERが一社でまとめて調整してくださったことで、建物側の工事をご担当いただいていた会社様とのやり取りもスムーズでした。また、地権者への報告時も情報がバラバラにならず、一括で報告できたのが非常にありがたかったです。
―そうした一括調整によるコスト削減効果についてはいかがでしょうか?
以前は携帯キャリアが無償で通信環境整備をしてくれる事例も多かったため、当初はインフラシェアリングによる設備導入にかかるコストの調整が課題でしたが、複数キャリアをまとめて導入できますし、設備導入まではJTOWER一社のみとの調整で完結します。複数の携帯キャリアと個別の調整にかかっていた人的な工数が大幅に削減でき、結果的にはコスト削減につながったと考えています。

―導入後の通信環境のご利用状況と、お客様や従業員様からの反応があればお聞かせください。
渋谷アクシュでの通信環境整備エリアは、地下駐車場から機械室、低層階商業エリア、高層階オフィスエリアと広範囲にわたります。特に地下駐車場では、精算機にバーコード決済を取り入れているため、携帯電話の通信網は必須です。
開業から現時点まで、インフラシェアリングでカバーしているキャリアの通信環境に関するお客様やオフィスワーカーの方々からのクレームは一切いただいておりません。
開業前から通信環境が整備されていたため、「改善した」というよりも、「万全な状態で開業を迎えられた」という認識です。特に機械室などバックヤードでは、緊急時の連絡手段として携帯電話の通信網は欠かせず、安心・安全という面で非常に重要なインフラだと考えています。
―導入前から導入後のJTOWERのフォロー体制について、ご評価はいかがでしょうか。
導入までは、営業担当の方から携帯キャリアの工事の進捗状況のご報告を逐一いただき、安心してやり取りができました。また、導入後は今のところ通信トラブルも全く起こっていないため、アフターフォローの必要がない状態での運用ができており、非常に良好だと感じています。
―今後、通信環境整備を踏まえて、新たな取り組みがございましたら教えてください。
良好な通信環境は、今の時代、生活や仕事をする上で欠かせない存在です。渋谷アクシュに限らず、東急の他の施設でも、常に時代に追従した良好な通信環境を整備し、お客様の満足度向上に努めていきたいと考えています。
まだ、構想段階ではありますが、渋谷アクシュの屋外広場に設置したビジョンを活用し、あえて有線ではなく、無線でストリートライブの様子をリアルタイムで中継できないか考えています。実現には法規制や技術的な課題もありますが、こうした賑わいを演出するための新たなチャレンジを今後も検討し続けていきたいと考えています。




